「私の少年」勝手にマンガ感想文

マンガ

今回の勝手に感想文は高野ひと深さんのマンガ、「私の少年」です。

それでは行ってみよー!

あらすじ

ストーリーは30歳OL聡子さとこ12歳小学生真修ましゅうが出会うところから始まります。

聡子は賢く、高身長でかっこいい、自立した女性です。
スポーツメーカーでバリバリ仕事をしながらも、どこか満たされない思いを抱えており、深夜の公園に出向いてはワンカップでうさを晴らす生活をしています。

ある日、聡子は深夜の公園でひとりサッカーの練習している真修と出会います。
真修はまさに絵に描いたような美少年です。
しかし家庭環境は複雑で、父子家庭&ネグレクト気味であることが徐々に分かります。深夜子供が1人でいることを許している地点でいろいろとアレである

2人はサッカーの練習を通して定期的に合うようになります。

本作はそんな2人が交流し、成長する様子が、真修が高校生になるまで描かれていきます。

おねショタだとは思わない!

本作はいわゆる“おねショタ”(年上女性と少年のカップリング)という側面があります。
しかし私は今回あえてそのような角度では語りません。

というのも聡子の内面が非常にリアルな、苦悩する人間として描かれており、
そっちに物語としての魅力を感じたからです。

“普通”へのアンチテーゼ

では私はどのような角度で本作を読んだのか、それは「”普通”へのアンチテーゼ」です。

聡子と真修の関係は“普通”ではありません。
“普通”は30代のOLと身内でもない小学生男子が深く、継続的に関わる機会なんてないからです。

私達の築くことのできる人間関係は性別、年齢、職業などの属性にって社会的に縛られています。
いわゆる常識というやつですね。

常識は認識を簡略化したり、私たちを守る側面があります。
しかし、常識や“普通”という言葉は時に人を苦しめます。
実際、聡子は真修との関係について何度も悩み、葛藤します

作中でキーワードとして出てくるのが「未成年略取」です。
略取とは、暴力や脅迫によって相手を連れ去り、支配下に置くことを指します。

もちろん、聡子はそんなことしていないのですが、重要なのは周りから見たとき、そう見えかねないということです。

聡子は賢いため、自分の状況を客観視して行動や感情に制限をかけ、結果苦しみます。
まさに世間の常識や“普通”という言葉にがんじがらめになっています。

しかし、現実はもっと複雑で豊かで、自由なはずです。

「恋愛関係」ではなく「人間関係」

聡子と真修の関係を言い表す言葉はたくさんあると思います。
「恋愛」「友情」「疑似家族」「憧れ」「庇護」「依存」「大人と子供」etc…
しかし、正確に言い表すにはどれも不十分です。

聡子と真修の関係は、”聡子と真修の関係” これ以上割り切れないと思いますし、割り切れないというところに価値があるのではないでしょうか。

現実にあるのは具体的で個別の人間関係であって、テンプレート的な解釈にそれらを閉じ込めてはいけないと私は思います。

終わりに

ここまで触れてきませんでしたが、「私の少年」は絵がキレイです。
特に真修の美少年っぷりには一見の価値アリだと思います。

また心理描写も精彩で、登場人物の心のひだの1枚1枚を丁寧に描いています。
ちょっとでも興味のある方はタイトルで引かずに読んでほしいなと思います。

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