本、マンガ、映画など、作品を見て感じたこと好きなように書く、勝手に感想文のお時間がやってまいりました。
今回はマンガ「ひきだしにテラリウム」を取り上げて、ゆる~く感想書き連ねていきます。
ざっくり概要
作者は、「ダンジョン飯」で有名な久井諒子さん
作風はざっくりいうと、ヘンな世界に生きる普通の人々を描いています。
こんな世界があったら人はどう行動するのか?というシミュレーションのようです。
本作はそんな久井諒子さんの短編集で、
- 龍の肉を食べる話
- 化粧する猫の話
- ショートショートの主人公の話
などなど
バラエティ豊かな話が全33編並んでいます。
また、どこか寓話めいている所があり、この辺りは星新一さんの小説に近い印象を受けました。
ちょっとだけ本質考察
久井諒子さんの描く話は虚実入り乱れた描写が多いです。
あ、いや、フィクションなんだから虚に決まってんだろ!というツッコミは置いといてですね…
おとぎ話のような雰囲気なのだけれど、妙にリアリティがあるということです。
特に料理の描写は精彩で、現実に存在しないよくわからん食材を、慣れた手つきで調理していきます。
このように「虚」である設定を、「実」のように描くことによって、読者は理解が一瞬宙に浮きます。
私は読んでいて
「いまどうなってる?」→「分からない自分がおかしいのか?」→「そういうことか!」
と感じることが多かったです。
私はこの感覚は他人と交わるときに感じる一瞬の違和感に似ているなと思いました。
仕事内容を人に伝えたつもりが伝わってなかったとか、話がかみ合わないと思ったら、お互い全く別のものを思い浮かべていたとか、こういったときに頭に浮かぶ一瞬の「アレ?」という感覚があると思います。
私は久井諒子さんの描く物語にはこの「アレ?」がたくさん詰まっていると思います。
この感覚、現実世界だとイラっと来るかもしれませんが、作品として読むとパズルのようで楽しいんですよね。
登場人物は何を常識と捉えていて、どのような行動原理で動くのか、それが理解できたときは一種のカタルシスを感じることができます。
この心地よい”分からなさ”を味わってみたいという方は、ぜひ一度この漫画を手に取って読んでみてはいかがでしょうか。
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